コンセントとオーディオの話
オーディオ専用配線
我が家のコンセントは基本的に神保の白いやつなのだが,スタジオには一つだけ特別なコンセントがある.このコンセントは,実はアースを他のコンセントとは別で単独にとってある.配線も配電盤から分岐なしの一本の専用配線で引き回してある.コンセント本体はオヤイデの無メッキタイプ*1.カバーは神保の四つ口タイプ.いずれも施主支給.秋葉原のオヤイデに行って自分で買ってきたもの.
スタジオのオーディオ用電源
オーディオの沼ティック・ワールド*2
オーディオというのはただの紐みたいなケーブルが何十万もしたりするのが普通の世界だ.オーディオファイルたちを,その財布ごと引きずり込むことから,一般的に「沼」と呼ばれているジャンルの趣味の一つだ*3.
住宅に関連することで言っても,いろいろある.火力発電よりも水力発電の音が好きだから引っ越す,というのはよくある冗談に過ぎないが,実際オーディオ専用の別棟を建てたりする人は少なくないし,専用の地下室を作るとか,200Vで専用の電源をひいておいてそこから完全にクリーンな100Vを作るとか,まあいろいろある.ようするにキリがない.
予算
オーディオへのこだわりは,自分も無いとは言わない.けれども,優先事項はバランス,ほどほどだ.家作りと似ているところもあって,予算をかければかけるほど良くなっていくような気がするものだ.ただ,そんな中でいかに相応の予算だけでよいものを作るかが頭の使いどころだ,たぶん.
話を戻す.実際にスタジオにオーディオ専用電源を追加するに当たって予算はほとんどかかってない.配線引き回しは想定内だったのか増額に関しては特に何も言われなかった.アースも本体自体はそんなに高いものじゃない*4.そして,コンセントもひとつ五千円くらいだ.秋葉原のオヤイデ*5に行って買ってきた.
トータルで一万円ちょっとくらいだろうか.一本何万円もする「ひも」や,一枚何十万もする「板」などにくらべれば,まあいいんじゃない別にと思える値段だ.
ピュアオーディオ的にはかなり微妙なセッティングだけどまあこれはこれで
ディテール:玄関飾り棚
玄関の飾り棚の仕上げは例によってしばらく悩んでいたが,けっきょくチークの突き板を選んだ.
無垢や集成材も考えたし,石とか鉄なんかも検討したけれど,無難に突き板仕上げになった.というか本当のことを言うとしばらく放置されたあとで,「なんとなくそれでいいんじゃない?」的な雰囲気で決まった.玄関の床も上がり框もチーク材なので「ここは無難に揃えちゃいますか」といったような感じで.さんざん引き伸ばしたわりに普通のチョイスで落ち着いたが,奇を衒った選択がしたいというわけでもないので,それはそれで良い.
撮影当時はまだ飾り棚の突き板を貼る前だったので,よくみるとシナ材むきだしになっているのが見える
おまけ
不気味な笑顔をしたためた七三分けビジネスマンのフィギュアは,文具店「スコス」で買ったもの.当初はターンテーブルに乗せて回したりして喜んでいたのだが,結局玄関のここに落ち着いた.共働きのため買物がほとんど宅配便になっている我が家にとってふさわしい玄関の置物かもしれない.
光ります
うつむいて考える差異と反復
コンクリート洗い出し
一階部分の玄関とふれあいコーナーは,コンクリート洗い出しの仕上げになった.一般的な和風建築などに使われる玉砂利洗い出し(google画像検索リンク)と比べると,かなりラフな仕上がりだ.当初は正直なところ,ちょっと仕事が粗いかなと思っていた.けれども,ワイヤーブラシで砂利をあらわにしてからワックスを掛けると,わりとそれらしく仕上がった.
ふれあいコーナーの洗い出しの様子
玉砂利ではないことの意味
どうだろう.綺麗に仕上げた玉砂利というものは歴史的に常に日本建築とともにあり,一目見ただけでも即座に「和モダン」を想起させるような力がある.すでにあるものは作りたくないという施主と建築家の基本方針(過去記事リンク)から考えて,玉砂利洗い出し仕上げは我が家にとっては「和の文脈」が強すぎる嫌いがあった.そんな思考を経た今となっては,このなんでもない洗い出しのほうが実は我が家には合っているのではないかと思っている.
ただし建築家がそこまで計算していたのか単に減額の結果なのかは,私は実は知らない.
砂利とコルク
洗い出されたモルタルを眺めると,それはさまざまな色の小石によって構成されている.その大小さまざまな粒子の集合体によって作られるマチエールは,ロビンソンのコルクタイルとの相似関係をどことなく連想させる.このリンクが,期せずして家全体の統一感をやわらかく押し上げているように思う.
なんとなく洗い出しに似ているコルクの表情
コルクタイルとドミノフローリングの関係
さらに言うと,コルクタイルの継ぎ目の目地が作り出す格子模様は,実はドミノフローリングと幾何学的な相似関係になっている.このようにして,差異を持ちながら反復されるパターンや模様がそれとなく繰り返されることで,素材そのものに頼らない形で空間の強度が高められている.
家全体との相似関係
我が家の基本設計について説明したこの記事で触れたように,我が家を立面で見ると縦横三列の格子状の構造をしている.そうした形もドミノやコルクの格子構造とつながっているのだ,と言ったらそれはさすがに言い過ぎだろうか.
緑化
ジャングル化計画
我が家にはテラスが大小あわせて4つある.その中でも,二階のダイニングとリビングに挟まれた部分は極端なくらいに緑化したいと思っていた.そこで五月の連休に先駆けて,園芸店やホームセンターなどに出かけていって鉢や土や小石やネットや苗や肥料などありとあらゆるものを買ってきた.
今までの内覧会写真の嘘いつわりぶりがよく分かる一枚
駆り並べで配置決め.流行のセダム類も取り入れてみる
とりあえず手当たり次第に緑化
キッチンに近い小さなテラスは「食べられる」緑化
3階テラスも容赦なく緑化
ジョーロ
タイムリーに id:talbotbuy さんの記事で同じジョーロが紹介されていたのでリンクを貼っておきます.
休憩
一日やってるとけっこう疲れた.休憩,休憩.
納戸からハンモック*1を出してきてテラスの天井にぶら下げる.そして自分もぶら下がる.
極楽,極楽
固定の様子
重い鉢と軽い鉢
地植えにすると動かせないので,とりあえず鉢植えにしています.最初は見た目重視で陶器のものを選んでいたのですが,植え込むと重くて結局動かさなくなることに気が付きました.以後,プラスチック製の鉢も気軽に取り入れるようにしています.
最近はプラスチックであっても,アートストーンシリーズなど石や陶器風のものもありなかなか出来が良いのであなどれません.
2016.5.7追記
アートストーンシリーズをいくつか使ってみましたが,一般的な鉢に比べて枯れ率が高い印象を受けました.底穴がほぼ無いため水はけが悪いのかもしれません.上げ底でメッシュが付いていますが,ねんのため敷石もしっかり入れたほうが良さそうです.
出来上がり
二階テラス,まだジャングルには程遠い
三階テラス
いきつけのお店
音の葉
山手線の内側にある園芸店としては,かなり広いほうではないだろうか.郊外のホームセンターに比べるとやや高い程度.手入れが良いのか,枯れにくい気がする.詳しい店員が多く,聞くといろいろ教えてくれる.
ラインナップも豊富で,地植えの樹から卓上用のものまでいろいろなサイズが揃っている.もちろん土や鉢も買える.持ち帰れなくても宅配サービスあり.隣接のカフェもお勧め.自前の畑で取れた新鮮な素材をきれいに調理したシンプルなメニューが美味しい.
建築家と男二人でデート打ち合わせにも利用できる
ファーマーズ・ガーデン
車で行くことが前提だが,郊外店舗だけあって広い.だいたいなんでも買える.さすがに値段も安め.
郊外のホームセンターの園芸コーナー
盲点なのだが,実はホームセンターの園芸コーナーは十分に使える.ただしこれも車が前提.ラーメン屋やハンバーガーショップが併設されていたりするので,子供がお腹をすかせても気楽.苗なら鮮度もあまり関係がないのでぶっちゃけどこでも同じと思ってホームセンターで買うことも多い.
*1:我が家のはダブルサイズ
ディテール:テラスのデッキ材
ウッドデッキどうしましょ
すこし土で汚れたままの状態を撮影.最初に言っときますけど,奥の鉢植えが枯れているように見えるのは気のせいですから*1
世の中にはよさげなデッキ材がいろいろあるんですね.我が家はIOCのコーラルリーフというデッキ材にしてみました.
デッキ材の色とフローリングの色の並び
デッキ材って最初は茶色くて,その後焼けて灰色になっていくってパターンがほとんどだと思うのだけれど,それ以外の色ってないわけ?っていうのは結構みんな思いませんか.がんばって毎年キシラデコール塗るのもいいけど,茶色以外も選びたいじゃない?ていうか室内のフローリングが茶色,外のデッキも茶色だと,色味の違う茶色がぶつかって気になるじゃない?.
しかも我が家の場合は,ダイニングからテラスを挟んでリビングに行く視線を考えると,さらに問題が.というのも,ダイニングの床も茶色,リビングも茶色.この中途半端に素材も違えば色実も違う茶が並ぶのが気になる.その間のテラスまで違う茶色だと収拾付かないでしょ.ということで明るいベージュとかどうか,ということでこれになりました.
つまり,こういう絵です.
複合素材のコーラルリーフ
明るいベージュ?じゃあ焼けたあとのデッキ材なら灰色だから普通にそれでいいじゃん,と思うかもしれないでしょ?でもね,うちのテラスの真ん中の部分は三階の渡り廊下部分が重なるので,一部は雨が当たらないんだな.そうすると焼けムラができる.恐ろしい恐ろしい.
じゃあコーラルリーフは?っていうと,これは複合素材なんですね.もともとは木だけどそこに樹脂を注入して固めてある.なので丈夫で安定している.これなら色味もいいんじゃない?ってことで比較的簡単に決まりました.もちろんもっといいのが無いか探したけど,コレだ!というほどのものは無かったです.
施工中の様子*2
IOCのコーラルリーフはなかなかいい
ウッドデッキにありがちなササクレが素足に刺さるとかも無いし,土いじりをして汚してもデッキブラシで擦れば綺麗になるし,風合いも木そのものって感じでプラスチッキー感ないし,単価も高くないし,これはぶっちゃけ結構お勧めの建材です.早速このページをプリントアウトして建築家に逆提案しよう.
ディテール:ドミノフローリング
ほんまもん
玄関とリビングにはドミノタイプのフローリングを採用した.アルブルインクが輸入しているDEESAWATというラインナップだ.社長曰く「これはね,ほんまもんのチーク.ほんまもんの」ということなので,これはきっと本物のチークに違いない.
リビング部分
硬い
材はチークなのでかなり硬い.そしてきわめて丈夫そうだ.リビングはソファなので特に問題ないのだが座布団なしで座るとすこし痛いくらいの硬さだ.なので,ダイニングなどには採用しなくて正解だった.というか,そこは半ば減額神(過去記事リンク)の強制力によってコルクタイルになったようなところもあるのだが.
LOOSEとFIX
LOOSEとFIXという二種類のうち,LOOSEのオイル塗装タイプを選んだ.小さな無垢の木片が並べられた状態で裏からネットで接着されて一枚のタイルになっている.それをさらに並べて床にする仕様.LOOSEタイプは表面にコンマ数ミリのずれがあり,全体としても並べると1mmほど目地がずれる場合がある.そこを好ましい味ととるか望ましくないズレととるかで人によって評価が変わる床材かもしれない.
黄色い
また新品の状態では黄色味がかなり強い.これは当初からのコンセプトであった「経年変化でより美しくなる家(過去記事リンク)」という観点から,最初は黄色くても構わないと思っていた.チークは一般的に経年変化で濃褐色へと変化していくので,我が家の黄色い床がこれからどうなっていくか楽しみだ.
玄関部分.実際には,ここまで黄色くは無……と思ったが後ほどiPhone 5Sで確認したら現物に近い黄色さだった*1
値段
随時輸入する材とのことで,時期や施工面積で価格が変わるらしい.うちの場合は平米あたり一万円台前半だったと思う.一般的にフローリングは注文住宅であっても五千円から一万円くらいでなんとかしたいところだと思う.そういった意味ではドミノは高めのフローリング材になるかもしれない.ただし,凝ったつくりなのでそんなもんか.それにだってほら,「ほんまもんのチーク」だしさ.
ほな,さいなら.
続きを読む
ディテール:井上スダレ
井上スダレに決まるまで
日ごろおもに時間を過ごす二階部分の遮光には,カーテンではなくスダレにした.テラスの緑が見える状態で,ある程度の遮光と目隠しを実現したいという思いがあった.当初は透け感のあるドレープカーテンも検討していた一方で,井上スダレも気になっていた.大阪のメーカーなので,関東ではショールームなどで実物を見る機会がなかなかない.日経メッセ・建材展に行って現物を確認してきた話は過去記事に書いた.
使用感
採用されたのはラインナップの中の「経木すだれ」という製品だ.使ってみた感想は以下のとおり.
若干の工夫の余地がある機器取り付け部周辺の様子
関東の取扱店
井上スダレは関東に支店がないので,実際には地域の代理店での取り扱いになる.相談から施工までインデコのTさんにお世話になった.彼女のプロフェッショナルな提案・アドバイスなどのおかげで素敵なカーテンやスダレをスムーズに選ぶことができた.
で,いくらなの?
最後に,自分たちも検討中は他の方々のカーテン予算が気になったので,情報共有の意味でここでも書いておく.ざっくりいうと家全体で福沢兵の動員で言って五十万人以上百万人以下くらいである.スダレを採用しなければ,五十万人以下も容易だろう.イケアのカーテン生地でセミDIYなどすれば,さらに半額以下にすることも可能かもしれない*5.ともかく,注文住宅のカーテン予算はなんだかんだと五十万くらいかかるものらしいので,まあそんなものかと思うことにした.