うつむいて考える差異と反復
コンクリート洗い出し
一階部分の玄関とふれあいコーナーは,コンクリート洗い出しの仕上げになった.一般的な和風建築などに使われる玉砂利洗い出し(google画像検索リンク)と比べると,かなりラフな仕上がりだ.当初は正直なところ,ちょっと仕事が粗いかなと思っていた.けれども,ワイヤーブラシで砂利をあらわにしてからワックスを掛けると,わりとそれらしく仕上がった.
ふれあいコーナーの洗い出しの様子
玉砂利ではないことの意味
どうだろう.綺麗に仕上げた玉砂利というものは歴史的に常に日本建築とともにあり,一目見ただけでも即座に「和モダン」を想起させるような力がある.すでにあるものは作りたくないという施主と建築家の基本方針(過去記事リンク)から考えて,玉砂利洗い出し仕上げは我が家にとっては「和の文脈」が強すぎる嫌いがあった.そんな思考を経た今となっては,このなんでもない洗い出しのほうが実は我が家には合っているのではないかと思っている.
ただし建築家がそこまで計算していたのか単に減額の結果なのかは,私は実は知らない.
砂利とコルク
洗い出されたモルタルを眺めると,それはさまざまな色の小石によって構成されている.その大小さまざまな粒子の集合体によって作られるマチエールは,ロビンソンのコルクタイルとの相似関係をどことなく連想させる.このリンクが,期せずして家全体の統一感をやわらかく押し上げているように思う.
なんとなく洗い出しに似ているコルクの表情
コルクタイルとドミノフローリングの関係
さらに言うと,コルクタイルの継ぎ目の目地が作り出す格子模様は,実はドミノフローリングと幾何学的な相似関係になっている.このようにして,差異を持ちながら反復されるパターンや模様がそれとなく繰り返されることで,素材そのものに頼らない形で空間の強度が高められている.
家全体との相似関係
我が家の基本設計について説明したこの記事で触れたように,我が家を立面で見ると縦横三列の格子状の構造をしている.そうした形もドミノやコルクの格子構造とつながっているのだ,と言ったらそれはさすがに言い過ぎだろうか.