写真の話
内覧会写真の撮影について
内覧会の写真をどうやって撮っているのかというご質問をいただきました.せっかくブログをやっているのでそういったコメントにはどんどんリアクションしていきたいです.
実際の様子
こんな感じで撮っています.三回くらいに分けて撮り溜めたものを使って記事も書き溜めておいて,適宜投稿しています.当然ながら毎日撮って書いてしているわけじゃないです.
機材
内覧会の写真はほぼすべて三脚を使用しています.三脚を持っていないので兄に借りました.K-7はセンサーの性能がしょぼいので輝度差があるときなどはHDRモードで.まれに手持ちでふつうに撮ったりもします.
Pentax K-7+31mm or 21mm
メインの機材はPentaxのK-7と31mmです.いつもこればっかり使っているので使い慣れています.センサーがAPSサイズなので31mmのレンズは135換算にすると45mmくらい相当です.ディテールのアップぎみの写真などは,ほぼすべてこれで撮っています.ときどき21mmというのも出てきます.
K-7+31mmの三脚使用HDRモードだとこんな絵です.HDRで撮るとノイズが少なく,トーンが滑らかに出ます.黒つぶれや白とびがかなり起きにくい.
K-7+31mmの手持ちノーマルモード.
これは21mmのHDR撮影.
ニコンのフルサイズと超広角ズーム
全体を写すような広角の写真は,レンズがないので借りた機材で撮りました.友達から借りてきたNikon D800にレンタルで借りたAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを付けて一日でまとめて撮りました.
D800は初めて使いましたが,さすがフルサイズっていう感じの普通に良いボディでした.APS-Cサイズのセンサーを持つK-7に比べて,D800はダイナミックレンジも広いしノイズも少ないのでHDRの必要がありません.値段も世代も違うので,あたりまえですが.
14-24の広角ズームもとても高性能でした.ただ14mmって,どんなに引きが取れなくてもだいたい端から端までなんでも入っちゃうので調子に乗って使っちゃうのですが,非現実的な広さで写ってしまったりしてあとで没になったりします.
あと広角になるほど水平をだすのもかなり難しくなりますね.水平垂直だけならPicasaで回転すればいいけれども,アオリがついてしまうとPhotoshopなどを使わなければ修正できないです.それが面倒でむしろボツにしてしまうため,そうならないように撮影の段階で可能なかぎりまっすぐ撮るようにしています.
D800+14-24mmの14mmワイド端での撮影.非現実的な奥行き感が出てしまう.
iPhone5S
ときどき出てくる正方形の写真はすべてiPhone5Sで撮影したものです.メモ代わりにインスタグラムにあげたものを再利用しています.インスタグラムは簡単にアオリ補正も出来るので,なにげに超高機能です.
iPhone内臓カメラの写りはバカに出来ません.マジで,ぜんぜんバカにできない.
ポストプロダクト的なこと
めんどくさいのでRAW撮影はしませんでした.撮ったあとはJPGをGoogleのPicasaで読み込んで,自動コントラストと自動色調整のボタンをおして終わりです.黒のしまりが足りないと思ったときはシャドウ調節もすることもありますが,基本的には撮影の段階で露出をあわせれば不要なことが多いです.
総括
建築写真は初めてでしたが,実際に撮ってみるとけっこう独特のコツがいると思いました.
レンズは20mmくらいの短焦点一本あれば,実はひとまずことたりると思いました.あとはディテール用に50mmとかがあればもう十分かもしれません.欲を言えば35mmくらいのナチュラルなパースで撮りたいですが,日本の住宅では「引き」が取れないので意外と使いにくいかもしれませんね.
もちろんそこそこ良い三脚は必須です.ミラーアップやリモコンレリーズなんかもあると,絞ったときのぶれ防止にいいかもしれません.画像ソフトはPhotoshopがあるとなんでも出来ますが時間食いますし,プロじゃないんでPicasaでも別にいいんじゃないかと思いました.
結論的に最後にひとこと言うと,そこそこの広角レンズを付けてあとは気合で水平と垂直を出すってことですかね.
コンセントとオーディオの話
オーディオ専用配線
我が家のコンセントは基本的に神保の白いやつなのだが,スタジオには一つだけ特別なコンセントがある.このコンセントは,実はアースを他のコンセントとは別で単独にとってある.配線も配電盤から分岐なしの一本の専用配線で引き回してある.コンセント本体はオヤイデの無メッキタイプ*1.カバーは神保の四つ口タイプ.いずれも施主支給.秋葉原のオヤイデに行って自分で買ってきたもの.
スタジオのオーディオ用電源
オーディオの沼ティック・ワールド*2
オーディオというのはただの紐みたいなケーブルが何十万もしたりするのが普通の世界だ.オーディオファイルたちを,その財布ごと引きずり込むことから,一般的に「沼」と呼ばれているジャンルの趣味の一つだ*3.
住宅に関連することで言っても,いろいろある.火力発電よりも水力発電の音が好きだから引っ越す,というのはよくある冗談に過ぎないが,実際オーディオ専用の別棟を建てたりする人は少なくないし,専用の地下室を作るとか,200Vで専用の電源をひいておいてそこから完全にクリーンな100Vを作るとか,まあいろいろある.ようするにキリがない.
予算
オーディオへのこだわりは,自分も無いとは言わない.けれども,優先事項はバランス,ほどほどだ.家作りと似ているところもあって,予算をかければかけるほど良くなっていくような気がするものだ.ただ,そんな中でいかに相応の予算だけでよいものを作るかが頭の使いどころだ,たぶん.
話を戻す.実際にスタジオにオーディオ専用電源を追加するに当たって予算はほとんどかかってない.配線引き回しは想定内だったのか増額に関しては特に何も言われなかった.アースも本体自体はそんなに高いものじゃない*4.そして,コンセントもひとつ五千円くらいだ.秋葉原のオヤイデ*5に行って買ってきた.
トータルで一万円ちょっとくらいだろうか.一本何万円もする「ひも」や,一枚何十万もする「板」などにくらべれば,まあいいんじゃない別にと思える値段だ.
ピュアオーディオ的にはかなり微妙なセッティングだけどまあこれはこれで
ディテール:玄関飾り棚
玄関の飾り棚の仕上げは例によってしばらく悩んでいたが,けっきょくチークの突き板を選んだ.
無垢や集成材も考えたし,石とか鉄なんかも検討したけれど,無難に突き板仕上げになった.というか本当のことを言うとしばらく放置されたあとで,「なんとなくそれでいいんじゃない?」的な雰囲気で決まった.玄関の床も上がり框もチーク材なので「ここは無難に揃えちゃいますか」といったような感じで.さんざん引き伸ばしたわりに普通のチョイスで落ち着いたが,奇を衒った選択がしたいというわけでもないので,それはそれで良い.
撮影当時はまだ飾り棚の突き板を貼る前だったので,よくみるとシナ材むきだしになっているのが見える
おまけ
不気味な笑顔をしたためた七三分けビジネスマンのフィギュアは,文具店「スコス」で買ったもの.当初はターンテーブルに乗せて回したりして喜んでいたのだが,結局玄関のここに落ち着いた.共働きのため買物がほとんど宅配便になっている我が家にとってふさわしい玄関の置物かもしれない.
光ります
うつむいて考える差異と反復
コンクリート洗い出し
一階部分の玄関とふれあいコーナーは,コンクリート洗い出しの仕上げになった.一般的な和風建築などに使われる玉砂利洗い出し(google画像検索リンク)と比べると,かなりラフな仕上がりだ.当初は正直なところ,ちょっと仕事が粗いかなと思っていた.けれども,ワイヤーブラシで砂利をあらわにしてからワックスを掛けると,わりとそれらしく仕上がった.
ふれあいコーナーの洗い出しの様子
玉砂利ではないことの意味
どうだろう.綺麗に仕上げた玉砂利というものは歴史的に常に日本建築とともにあり,一目見ただけでも即座に「和モダン」を想起させるような力がある.すでにあるものは作りたくないという施主と建築家の基本方針(過去記事リンク)から考えて,玉砂利洗い出し仕上げは我が家にとっては「和の文脈」が強すぎる嫌いがあった.そんな思考を経た今となっては,このなんでもない洗い出しのほうが実は我が家には合っているのではないかと思っている.
ただし建築家がそこまで計算していたのか単に減額の結果なのかは,私は実は知らない.
砂利とコルク
洗い出されたモルタルを眺めると,それはさまざまな色の小石によって構成されている.その大小さまざまな粒子の集合体によって作られるマチエールは,ロビンソンのコルクタイルとの相似関係をどことなく連想させる.このリンクが,期せずして家全体の統一感をやわらかく押し上げているように思う.
なんとなく洗い出しに似ているコルクの表情
コルクタイルとドミノフローリングの関係
さらに言うと,コルクタイルの継ぎ目の目地が作り出す格子模様は,実はドミノフローリングと幾何学的な相似関係になっている.このようにして,差異を持ちながら反復されるパターンや模様がそれとなく繰り返されることで,素材そのものに頼らない形で空間の強度が高められている.
家全体との相似関係
我が家の基本設計について説明したこの記事で触れたように,我が家を立面で見ると縦横三列の格子状の構造をしている.そうした形もドミノやコルクの格子構造とつながっているのだ,と言ったらそれはさすがに言い過ぎだろうか.
緑化
ジャングル化計画
我が家にはテラスが大小あわせて4つある.その中でも,二階のダイニングとリビングに挟まれた部分は極端なくらいに緑化したいと思っていた.そこで五月の連休に先駆けて,園芸店やホームセンターなどに出かけていって鉢や土や小石やネットや苗や肥料などありとあらゆるものを買ってきた.
今までの内覧会写真の嘘いつわりぶりがよく分かる一枚
駆り並べで配置決め.流行のセダム類も取り入れてみる
とりあえず手当たり次第に緑化
キッチンに近い小さなテラスは「食べられる」緑化
3階テラスも容赦なく緑化
ジョーロ
タイムリーに id:talbotbuy さんの記事で同じジョーロが紹介されていたのでリンクを貼っておきます.
休憩
一日やってるとけっこう疲れた.休憩,休憩.
納戸からハンモック*1を出してきてテラスの天井にぶら下げる.そして自分もぶら下がる.
極楽,極楽
固定の様子
重い鉢と軽い鉢
地植えにすると動かせないので,とりあえず鉢植えにしています.最初は見た目重視で陶器のものを選んでいたのですが,植え込むと重くて結局動かさなくなることに気が付きました.以後,プラスチック製の鉢も気軽に取り入れるようにしています.
最近はプラスチックであっても,アートストーンシリーズなど石や陶器風のものもありなかなか出来が良いのであなどれません.
2016.5.7追記
アートストーンシリーズをいくつか使ってみましたが,一般的な鉢に比べて枯れ率が高い印象を受けました.底穴がほぼ無いため水はけが悪いのかもしれません.上げ底でメッシュが付いていますが,ねんのため敷石もしっかり入れたほうが良さそうです.
出来上がり
二階テラス,まだジャングルには程遠い
三階テラス
いきつけのお店
音の葉
山手線の内側にある園芸店としては,かなり広いほうではないだろうか.郊外のホームセンターに比べるとやや高い程度.手入れが良いのか,枯れにくい気がする.詳しい店員が多く,聞くといろいろ教えてくれる.
ラインナップも豊富で,地植えの樹から卓上用のものまでいろいろなサイズが揃っている.もちろん土や鉢も買える.持ち帰れなくても宅配サービスあり.隣接のカフェもお勧め.自前の畑で取れた新鮮な素材をきれいに調理したシンプルなメニューが美味しい.
建築家と男二人でデート打ち合わせにも利用できる
ファーマーズ・ガーデン
車で行くことが前提だが,郊外店舗だけあって広い.だいたいなんでも買える.さすがに値段も安め.
郊外のホームセンターの園芸コーナー
盲点なのだが,実はホームセンターの園芸コーナーは十分に使える.ただしこれも車が前提.ラーメン屋やハンバーガーショップが併設されていたりするので,子供がお腹をすかせても気楽.苗なら鮮度もあまり関係がないのでぶっちゃけどこでも同じと思ってホームセンターで買うことも多い.
*1:我が家のはダブルサイズ
ディテール:テラスのデッキ材
ウッドデッキどうしましょ
すこし土で汚れたままの状態を撮影.最初に言っときますけど,奥の鉢植えが枯れているように見えるのは気のせいですから*1
世の中にはよさげなデッキ材がいろいろあるんですね.我が家はIOCのコーラルリーフというデッキ材にしてみました.
デッキ材の色とフローリングの色の並び
デッキ材って最初は茶色くて,その後焼けて灰色になっていくってパターンがほとんどだと思うのだけれど,それ以外の色ってないわけ?っていうのは結構みんな思いませんか.がんばって毎年キシラデコール塗るのもいいけど,茶色以外も選びたいじゃない?ていうか室内のフローリングが茶色,外のデッキも茶色だと,色味の違う茶色がぶつかって気になるじゃない?.
しかも我が家の場合は,ダイニングからテラスを挟んでリビングに行く視線を考えると,さらに問題が.というのも,ダイニングの床も茶色,リビングも茶色.この中途半端に素材も違えば色実も違う茶が並ぶのが気になる.その間のテラスまで違う茶色だと収拾付かないでしょ.ということで明るいベージュとかどうか,ということでこれになりました.
つまり,こういう絵です.
複合素材のコーラルリーフ
明るいベージュ?じゃあ焼けたあとのデッキ材なら灰色だから普通にそれでいいじゃん,と思うかもしれないでしょ?でもね,うちのテラスの真ん中の部分は三階の渡り廊下部分が重なるので,一部は雨が当たらないんだな.そうすると焼けムラができる.恐ろしい恐ろしい.
じゃあコーラルリーフは?っていうと,これは複合素材なんですね.もともとは木だけどそこに樹脂を注入して固めてある.なので丈夫で安定している.これなら色味もいいんじゃない?ってことで比較的簡単に決まりました.もちろんもっといいのが無いか探したけど,コレだ!というほどのものは無かったです.
施工中の様子*2
IOCのコーラルリーフはなかなかいい
ウッドデッキにありがちなササクレが素足に刺さるとかも無いし,土いじりをして汚してもデッキブラシで擦れば綺麗になるし,風合いも木そのものって感じでプラスチッキー感ないし,単価も高くないし,これはぶっちゃけ結構お勧めの建材です.早速このページをプリントアウトして建築家に逆提案しよう.