四人の神様
家を建てるにあたっては,すくなくとも四人の神様と仲良くしないといけない.
銀行神
施主にとって,銀行は文字通り「神いわゆるゴッド」である.融資がおりなければ何も始まらない.資本主義経済の昨今において,銀行神は一般的に福沢兵として汎神論的に遍いていると考えられている.ちなみにどうでもよいが,我が家は三井神殿の池袋支店にお世話になっている.
建築神
世間では一般的には建築家と呼ぶ.0から1を生み出すような根源的クリエイションがなければ,良い家を建てるのは困難であるし,それを実現するのは建築神においてほかならない.いくら施主が浅知恵でああだこうだいっても,それは例えば本質という名の大樹の周りをぐるぐる回っているようなもので,がんばったところで樹の上に登るのは簡単なことではない.一般的に現人神である.
減額神
銀行神の神通力には限りがあるため,工務店大明神に話を通すためには減額神の口利きが必要である.これがまたけっこう厳格な神であり,時には施主の夢を無情に打ち壊すことがある.しかしながら,この口利きがうまくいきさえすれば夢のマイホームは一気に実現に近づくので,減額神とは楽しく付き合っていくべきである.なお,最近の研究では,減額神の実態は施主・建築神・工務店大明神から成るという三位一体説が有力である.
工務店大明神
ダイダロス(とイカルス:部分)
演奏者がいなければ,オーケストラがアンサンブルしないように,工務店大明神がいなければ家は建たない.工務店大明神は四人の中ではもっとも世俗的な神様であり,日本中に何千と存在することが知られている.
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冗談めかして書いてはいるが,実際のところ施主二人の力だけでは家を建てることは不可能だ.家づくりにあたって僕らが提供するものは,根本的には金融的信用能力と家を建てる意思にすぎないのである.それ以外のことはすべて,ここに登場する神々の力にすがる他ないのだ.