羊飼いたちの休日

全力で家を建てたブログ

コスタリカの靴下

コスタリカのコーヒーメーカー「ヴァンドーラ*1」を購入した。

 

 

ぽってりとした素朴な民窯。

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赤道のやや北にある、北海道よりすこし小さい国。

 

 

 ろくろによる手作業で作られているようだ。土は赤い。赤道付近の中南米産であることを考えるとラテライトの仲間だろうか。

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Kaffa Café

 Vandolaを製作・販売しているのは、Kaffa Café

コスタリカの首都San Joséにて、2003年に開業した家族経営の小さなカフェだ。Vandolaは、このカフェの店主であり発明家でもあるMinor “El Maestro” Alfaroによって開発された*2

 

商品はEtsyなどで購入できる。

www.etsy.com

 

Vandolaを使ってみる

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使用したフィルターはCHEMEX用のもの。V60用のフィルターと併せて、公式に推奨されている。それぞれ、味がかなり変わる。

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アイスコーヒーの季節である。

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取手の間に小さな穴が空いている。これは抽出時の酸化スピードに関わる重要な構造らしい。

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豆はKarta Coffeeで購入したCosta Rica "El Alto - La Piedra de Rivas"。フジローヤル「みるっこ」の目盛3で挽いた。

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CHEMEXのペーパーフィルターは、3-1折りの通常仕様。

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ペーパーは、それなりに漏斗部に密着するので空気は入りにくい。焼き物なので表面に凹凸があるので、つるっとしたガラス製のCHEMEXほど密着はしないかもしれない。なお、V60のような溝は掘られていない。

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とても美味しい。

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淹れ終わったフィルターの様子。ペーパーが漏斗にかなり密着した痕跡がある。

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V60とAEROPRESSとの比較

V60に普通のペーパーフィルターで淹れると、ドリップスピードが早い。アロマとボディのバランスが良いあっさりした口当たりになる。

 

AEROPRESSで淹れると、フレンチプレスにかなり近い、ボディのあるまったりした風味が引き立つ。

 

Vandolaで淹れると、アロマもすっきり感もあるがボディもしっかりしている。簡単に言うと、V60とAEROPRESSの中間のような淹れ味。すっきしているのにボディもあるという点では、どことなくネルドリップに近い雰囲気*3もあるかもしれない。

 

靴下ドリップとVandola 

Vandolaの淹れ味はネルドリップに近いと書いたが、実際のところKaffa Caféの“El Maestro”は、コスタリカで二世紀以上まえから用いられていたネルドリップ*4、もしくは「靴下ドリップ*5」の手法をヒントにVandolaを開発したという。

 

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"café chorreado"の様子((https://es.m.wikipedia.org/より)

 

 民芸とグローバリゼーション

Vandolaはコスタリカの伝統的な陶芸手法で作られているそうだ。大航海時代以前の、まだヨーロッパに発見される以前のコスタリカ

そんなVandolaの面構えは、沖縄の民芸「やちむん」にどことなく雰囲気が似ている。やむちんは沖縄の赤土をもちいるそうだが、コスタリカも土地は火山性で、熱帯雨林の下には赤土が広がっている。ただ、やちむんの素焼き部分はもうすこし黒みがかっており、Vandolaのような赤みは無い。

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( みんげい「おくむら」より)

 

 サードウェーブ以降のコーヒー世界について

丁寧にハンドピックされた豆は、ときに農家の手仕事が見えるような味わいを感じることができる。あるいは、あっさり言うなら、消費者にとってはいままでブラックボックスであったコーヒー豆の流通が可視化された、ということだ。

ゼロ世代に世界をおおっていた空気――インターネットに代表されるような、匿名で不可視な関係性を超えて、いま2010年代にコーヒーを飲むという行為は、造り手と顔を突き合わせるような面白さが出てきた。

サードウェーブとはなんだったのか。それは「豆に顔ができた」ということではなかったか。コーヒー豆の産地それぞれの個性、風味、色合いなどだけではなく、作った誰かが確かにこの世界に存在していると感じられるようになったのだ。ファンタジーとしての「豆の表情」のようなものをなんとなく想像できる時代になった。

さて一方で、抽出機はどうだろうか。フィルターコーヒーに限っても、フレンチプレス、HARIO V60、CHEMEX、AEROPRESS、サイホン式など、人気のある方式はたくさんある。どれもそれぞれに魅力あるドリッパーだが、工業製品である。そんななかで、一つ一つそれぞれに「顔」をもったVandolaが仲間入りしたということだ。

 

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 コスタリカ先住のBoruca族のマスク(commons wikimediaより)

 

 

おまけ

六年前に、意を決して「みるっこ」を買ってからというもの、いつのまにかおかしなところにたどり着いてしまった感じもなくはない。次は焙煎に取り組むべきなんだろうか。

 

さておき、"El Maestro"によると、Vandolaはお店でコーヒーを出すために開発したという。日本のカフェでも採用するところが出たら楽しいなあ、と思ってこの記事を書いている。

 

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めちゃくちゃオススメの本。ポップで網羅的で、かつ、詳しい。さすがにVandolaについての記述はない。

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この御方が“El Maestro”である。


How to brew coffee with a Vandola

 

Vandolaについてもう少し詳しく知りたくなった方には、以下の記事をお勧めする。英語。残念ながらVandolaについて書かれた日本語の記事は、いまのところひとつもない。

 

追加

その後「ヴァンドーラ」のかわりに「バンドーラ」で検索したところ、日経の記事を見つけた。

www.perfectdailygrind.com