羊飼いたちの休日

全力で家を建てたブログ

ガスオーブンの顛末

GAGGENAU(ガゲナウ)のガスオーブンは魅力的だ.でも高い.

 

そんな悩みを抱えていた我が家に,朗報が飛び込んできた.なんとツナシマ商事今年からBertazzoniのガスオーブンを輸入し始めるというのだ.

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このガスオーブンは極めてシンプルだ.厳密な意味ではタイマーすら付いていない*1.見た目はイタリアらしいエレガンスが垣間見えるものの,仕上げのディテールはGAGGENAUの商品とは比較にはならない.機能も同様だ.食品の内部温度センサーなどはもちろん付いていないし,汚れを高温で焼ききるような便利機能もない.

 

GAGGENAUとBertazzoni(ベルタゾーニ)では倍近く価格差がある.そして実際に見て触ってみるとわかるが,値段なりの差がある.けれども,肝心のオーブン機能そのものに関してはBertazzoniも一流なのではないかと感じた.服に限らず,家具なんかもそうだけれど,北イタリアの洗練はなかなか侮れないものがあるのだ.だから,Bertazzoniも良いオーブンに違いないと思う.たぶん(笑.

 

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僕はイタリアが好きで,二十代のころに四回ほど行ったことがある.その経験の中で,とにかく記憶に残っているのは食に関する彼らの生き様だ.

 

イタリア人は,食べ物に命をかけている.たとえばGambero Rosso社は毎年オリーブオイルの格付けだけで一冊の本を出している*2.人生の中で一度だけ,新婚旅行で大奮発してミシュランの二つ星レストラン*3に行ったことがあるが,その料理たるや五年たった今でもときおり「無性に再訪したい発作」に襲われるほどの衝撃として記憶に強く残っている.

 

彼らの食べ物への情熱は尋常ではない.

 

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だから,きっとBertazzoniのガスオーブンも期待できるはずだ.値段それなりに現実的だ.実際に触ってみた感じも良かったので,GAGGENAUの代わりにBertazzoniになるかもしれない.

 

 

ただし共働きの夫婦には,ある程度は高機能でお手入れも楽ちんなオーブンのほうが使いやすいということは言える.タイマーや汚れ焼ききり機能はあったほうがいいのではないかというのが妻の意見である.確かに,せっかく導入するのだから「使える」に越したことはない*4

 

 

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この悩みはクルマに例えるならば,MercedesのCクラスとFiatの500を比較するようなものだ.

 

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いや,よりはっきり言うならばC350と500Sを比べることに例えるのがふさわしい.

 

C350は実用性を中心にスキのない構成で,どこにだしても恥ずかしくない高い完成度を誇るセダンだ.一方の500Sは値段なりのチープなつくりにもかかわらずオシャレで愛しやすく,「これでいいのだ」という強い説得力を持ったコンパクトハッチである.

 

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Cクラスは文句のつけようがないほどの出来のよさだ.車にあまりこだわりがない知り合いから「良い車を買いたい」と相談されたとしたら真っ先に挙げる候補の一つだ.けれども「自分が乗るなら」と考えると,非力で狭くてゴーカートのような乗り味の500のほうがなぜか僕は好きだったりする.

 

Cクラスのような快適さは確かに素敵だけれど,そこに手を出し始めるとキリがない.もしくは堕落というか,うまく言えないけれど「完全に中年の世界に足を突っ込んだことを認めないといけない」みたいな雰囲気が漂い始める.まあどこをどう見ても自分は完全に中年なので,それも悪くはないかとも一方では思うのだけれど,たぶんまだ覚悟が決まっていないということなのだと思う.

 

 

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ともかく,どこまで機能を求めるかは慎重な判断が必要だ.道具としては,Bertazzoniのほうがシンプルで良いのではないかと僕は思っている.いずれにしても,実際に使うのはほとんど妻なので選択は彼女に任せることにしよう.

 

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20150719追記:

採用されました.

holidayforpans.hatenablog.com

*1:タイマーはついているが,ただ音が鳴るだけでガスが切れるわけではない仕様だ

*2:まあ日本も醤油などで似たようなものがあるので同レベルかもしれないが

*3:Ristrante Arnolfo

*4:ちなみにMieleなどの200V式電気オーブンにも焼ききり機能は大体ついている