造作テーブル大作戦
(「団欒の舞台装置について」の続編です)
ダイニングに置く座卓を決めあぐねていた.ダイニングテーブルは家族団欒の要である.心して選ばねばならない.どうしたものか.
ダイニングテーブルを求めて
まずはダイニングの広さ.これはご覧のとおり10畳だ.
そんなに広くはないがこの10畳はLDKではないので,この広さをピュアに食事用だけに使いきって構わない.だから,ほかのスペースへの導線部分を考慮してもそこそこ大きなテーブルが置ける.四人家族だから,サイズは一般的なそこそこ大きいサイズ(90cmx180cm)で十分だろう.
我が家は木造だし吹き抜けなどもないので天井の高さはそれほどない.その点を考慮し,以前からダイニングテーブルは座卓にしようと思っていた.
つまり,そこそこ大きい座卓を探せばよい.だがしかし.
既製品?
逆に,既製品でも良いものはあるけれど,気に入ったものとなると結構高い.
うーん,どうしよう.
自作?
ないなら自分で作ればいい.
適当にサブロク判のウォルナットかチェリーあたりの集成材を買ってきて,適当にオイルでも塗って,適当にイケアの足でもつければ出来上がりだ.DIYならば10万円でおつりがくる.しかも結構シンプルな良いテーブルができる.
画像は前田木材のサイトから拝借しました
でもそれじゃちょっとつまらない.うーん,どうしよう.
困ったときの造作!
そんなことを建築家に話したところ,彼は一言こういった.
「作りましょう」
設計
……というわけで,設計はこちらでやって,作業は造作家具として大工さんなどに頼んで作ってもらうことにした.
作るとなればまずはデザインである.DIYじゃなければ多少複雑なことも出来るから,考え甲斐もある.ああだこうだとうなりながら,とりあえずラフスケッチを描き,脚を作ってもらう予定の鉄作家や建築家とも相談しながら,ひとまず大まかな形を決めた――というか基本的にはこれ↓を丸パクリすることにした.
ちなみにこれは,丹下健三先生デザイン・天童木工謹製のお値段50万円である.ちょっと高すぎるね.
いやー,インターネット画像検索という集合知は素晴らしい.ま,ともかく「丹下先生の作品を参考にさせていただきました」ってことですかね(真顔).
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ここからが本編です.
模型を作る
形が決まればひとまず試作だ.さっそくレモン画翠に材料を買いに行って,模型を作った.
バルサ板,ケヤキ角材,オーク突き板シート,ステンレスワイヤーなどを買ってきた.ワクワクする.
はいできました.
<終>
作り方
とりあえず脚を斜めに切るためのジグを作る.両サイドの添え木が両面テープで土台に固定されている.
これで何も考えずに「同じ長さ,同じ角度」で切れる.
穴を開ける.二枚重ねで作業すると,自動的に同じ位置に穴が開く.この作業を見越して,添え木は本体よりも分厚いもので作ってある.
見事なまでに同じものが6本出来た.
余っている厚紙を適当な正三角形っぽい形に切る.
適当な感じの正三角形が6枚できた.
それらを組み立てると,このように斜めにスラントした脚ができる.めんどうなので瞬間接着剤でつける*1.はみ出たワイヤーは,のちほどワイヤーカッターで切る.
バルサをL字型に切って作っておいた天板に脚をつける.
バルサに突き板を張って木目を出し,さらにコピックで色を塗る*2.どうでもいいが色はE59 walnut.
脚もコピックで塗る.どうでもいいがW10 warm grey.鉄を溶接して作った脚をイメージしているので,雰囲気を再現するために無駄な技術を駆使する.
いい感じだ.
というわけであらためて完成.うーんカッコいい.
ていうかコレ,本物よりカッコよくない?
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おまけ
もうお気づきかと思うが,このテーブルの良いところは,カッコいいだけでなく,可変配置できる点にある.
ベーシックな普段用の配置.
細長ーくして大勢でワイワイ飲み会用の配置.
こうして重ねれば収納も完璧である.
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(ほかにも10パターンくらいあるが,割愛)
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あとがき
こういう工作は楽しい.ガンダムのプラモデルなどを作る人の気持ちも判るような気がしてくる.
さて,形が決まればあとは素材だ.無垢の一枚板にするか,幅ハギ材にしてすこし安く上げるか.いろいろ見て決めたいので,松山にある木材屋「近藤工芸」に行って現物を見ることにした.ここは,都内では到底不可能な常時在庫800枚以上を誇る.すごい.しかも,最近はLCCなるものがあり,松山もJetStarで片道7000円以下で行けてしまう.素晴らしい.
神代ケヤキの3枚ハギ
というわけで,次回はテーブルの板選びです.