キッチンと車
キッチン選びは難しい.
一言でキッチンと言っても,世の中にはニトリなどの格安モノからminotticucineあたりの天上人御用達までいろいろある.
確かに,安いキッチンでも機能的には十分だ.たとえば,苗場の見捨てられた別荘を100万円で購入して自分たちでリノベーションするなら,20万のIKEAキッチンを軽トラで運んでDIYするのが楽しいだろう.けれども,建築家にたのむ家となるとそうもいかない.バランスも大事なので,全体の中で調和しながらかつ長く愛しやすい個性をもったキッチンを選ぶとなると一筋縄ではいかないのだ.
まずは勉強と,いろんなショールームに足を運んだ.
ところで,一般的にキッチンの予算は自家用車と同じくらいと言われている.なので,乱暴にも各キッチンメーカーを車にたとえてみることにした.とくに意味は無いけど.
・クリナップ (スバル レガシィ)
通好みの国産.
・Panasonic (ホンダ オデッセイ)
家電も含めて考えると,かなりキレイに収まるのが利点だろうか.アイランドモデルなんかは十分にカッコよかったりするのであなどれない.
安くてオシャレ.ある意味最強.けっこうマジな話で「ウチもこれでいいよね」という話になったこともある.
国産ハイエンドの王道.アイランド型の「ISOLA」はかっこいい.イタリアに憧れるTOYOと,ドイツに憧れるレクサスは,どことなくカブるイメージがある.だが,いかんせん全体の世界観が我が家には響かず.
本来は業務用キッチンメーカー.国産質実剛健の雄.オールステンレスのDGシリーズは強烈な存在感を放つ.しかしながら,オールステンレスバイブレーション仕上げでフルオーダーにすると目の玉が飛び出るような値段になることも*1.
・Kitchen House (マツダ RX-8)
セラミック素材のContanteは文句なしにカッコいいし,素材の機能性も高い.個人的には異素材にチャレンジしている点を評価したい*2.ただ,加工性が悪く,フルオーダーには向かないようだ.さらに,このセラミック素材は耐火の認定が取れていないらしく,コンロの前など使えない場所がある.そして,よくわからないうちにラインナップから消えてしまった.そして,ショールームに行くとわかるが,ここは売り方がヘタだ.
極めて日本車的,極めてトヨタ的なキッチン.ショールームに行くとその意味がわかると思います.
・amstyle (AUDI A4 avant quattro)
amstyleのキッチンはとにかく美しい.是非実物を見に行って欲しい.そして仕上げがきれいな割には,「意外と」リーズナブル.見た目のオシャレさに反して,もともとは質実剛健なのではないかと思わせるメーカー.
・松岡製作所 (Nissan Z 350)
タニコー同様にステンレスの得意なメーカー.程よくオシャレで,程よく質実剛健.当初は,写真の扇形のアイランドキッチンを見るためだけにショールームに行ったようなものだったが,全体的に好印象であった.
・Linea Talara (BMW 320i M-sports)
もともとは家具メーカーということもあって,仕上げがキレイ.決してそれだけではない.担当者と話すほどにキッチンへの拘り,情熱を感じる.「微妙だけれど重要な差」がわかる貴重なメーカーと思う.使い勝手に関する実装も強い.実用性と審美性の両立にこだわりたい人にお勧め.ただしディテールをがんばりすぎると,BMWがAlpinaになってしまうかもしれない.
・造作
仕上げはやはり専門のオーダーキッチンメーカーにはやや劣るというのが一般論.工務店によって,ステンレスバイブレーション仕上げが選べなかったり,ピアノ塗装の塗りの回数が少なかったり,サンディングやバフがけの仕上げが適当だったりすることもあるようだ.さらに見本が無い,ショールームが無いなど,素人からすると仕上がりが想像しにくいことも欠点だろうか.
だが,安い.ちょっとこだわったキッチンを作ろうとした場合,キッチンメーカーでオーダーすると200-400万くらいかかるのが世の中の相場*3だが,造作で頼めば半額近くですむこともある.
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結局どれになるか.減額調整という名の神様の気分次第だ.
次回は機器などの話をしたいと思います.
おまけ.
■キッチンをオーダーするにあたっては,必ず読むべき黒田さんのAllaboutの記事.
■気になっていたが,行かずじまいだったメーカーなど.
・LIMES kitchen 抑制的・建築的
・Euromobil 北イタリアの香り
・poggenpohl どこか無骨なゲルマン
・ALNO
・Kreis & company取り扱い
PREMIO,minotticucine*4,bulthaup*5
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まあようするに,世の中には死ぬほどキッチンメーカーがありますってことですね.