羊飼いたちの休日

全力で家を建てたブログ

ディテール:ドミノフローリング

ほんまもん

 玄関とリビングにはドミノタイプのフローリングを採用した.アルブルインクが輸入しているDEESAWATというラインナップだ.社長曰く「これはね,ほんまもんのチーク.ほんまもんの」ということなので,これはきっと本物のチークに違いない.

 

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リビング部分

 

硬い

 材はチークなのでかなり硬い.そしてきわめて丈夫そうだ.リビングはソファなので特に問題ないのだが座布団なしで座るとすこし痛いくらいの硬さだ.なので,ダイニングなどには採用しなくて正解だった.というか,そこは半ば減額神(過去記事リンク)の強制力によってコルクタイルになったようなところもあるのだが.

 

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LOOSEとFIX

 LOOSEとFIXという二種類のうち,LOOSEのオイル塗装タイプを選んだ.小さな無垢の木片が並べられた状態で裏からネットで接着されて一枚のタイルになっている.それをさらに並べて床にする仕様.LOOSEタイプは表面にコンマ数ミリのずれがあり,全体としても並べると1mmほど目地がずれる場合がある.そこを好ましい味ととるか望ましくないズレととるかで人によって評価が変わる床材かもしれない.

 

黄色い

 また新品の状態では黄色味がかなり強い.これは当初からのコンセプトであった「経年変化でより美しくなる家(過去記事リンク)」という観点から,最初は黄色くても構わないと思っていた.チークは一般的に経年変化で濃褐色へと変化していくので,我が家の黄色い床がこれからどうなっていくか楽しみだ.

 

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玄関部分.実際には,ここまで黄色くは無……と思ったが後ほどiPhone 5Sで確認したら現物に近い黄色さだった*1

 

値段

 随時輸入する材とのことで,時期や施工面積で価格が変わるらしい.うちの場合は平米あたり一万円台前半だったと思う.一般的にフローリングは注文住宅であっても五千円から一万円くらいでなんとかしたいところだと思う.そういった意味ではドミノは高めのフローリング材になるかもしれない.ただし,凝ったつくりなのでそんなもんか.それにだってほら,「ほんまもんのチーク」だしさ.

 

 ほな,さいなら.

 

*1:モニターのキャリブレーションが必要だ

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ディテール:井上スダレ

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井上スダレに決まるまで

 日ごろおもに時間を過ごす二階部分の遮光には,カーテンではなくスダレにした.テラスの緑が見える状態で,ある程度の遮光と目隠しを実現したいという思いがあった.当初は透け感のあるドレープカーテンも検討していた一方で,井上スダレも気になっていた.大阪のメーカーなので,関東ではショールームなどで実物を見る機会がなかなかない.日経メッセ・建材展に行って現物を確認してきた話は過去記事に書いた.

 

holidayforpans.hatenablog.com

 

 

使用感

 採用されたのはラインナップの中の「経木すだれ」という製品だ.使ってみた感想は以下のとおり.

  • 遮光力はかなり高い*1
  • 十分な「透け感」がある*2
  • スダレ部分は繊細かつしっかりしている
  • 巻き取り機器がすこしゴツい*3
  • 巻き取ったときのロールも意外とデカい
  • 通常のカーテンと比べると高い*4

 

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若干の工夫の余地がある機器取り付け部周辺の様子

 

関東の取扱店

 井上スダレは関東に支店がないので,実際には地域の代理店での取り扱いになる.相談から施工までインデコのTさんにお世話になった.彼女のプロフェッショナルな提案・アドバイスなどのおかげで素敵なカーテンやスダレをスムーズに選ぶことができた.

 

で,いくらなの?

 最後に,自分たちも検討中は他の方々のカーテン予算が気になったので,情報共有の意味でここでも書いておく.ざっくりいうと家全体で福沢兵の動員で言って五十万人以上百万人以下くらいである.スダレを採用しなければ,五十万人以下も容易だろう.イケアのカーテン生地でセミDIYなどすれば,さらに半額以下にすることも可能かもしれない*5.ともかく,注文住宅のカーテン予算はなんだかんだと五十万くらいかかるものらしいので,まあそんなものかと思うことにした.

 

 

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www.sudare.co.jp

 

www.indeko.co.jp


*1:写真を見てもらうと分かるが夏の直射日光が当たっても室内は日陰になっている

*2:閉めた状態で,テラスの緑が見える

*3:いまは見慣れて気にならなくなった程度ではある.当初から採用が確定しているなら梁をよけてニッチを作って埋め込むなどの対応もいいかもしれない

*4:選ぶ生地にもよるがファブリックタイプのローマンシェードと比べて七割増しくらい.ただ,モノのつくりを考えれば妥当

*5:我が家的には縫製技術はあっても暇がなかったので,IKEA的減額調整は諦めた

ディテール:ペーパーウッド

 滝沢ベニヤの「ペーパーウッド」シリーズを検討した話はここに書いた.今回は実際の様子などを紹介したい.

 

holidayforpans.hatenablog.com

 

ペーパーウッドの実際

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二階リビング部分

 

 

採用箇所

 気に入ったからといってあんまり沢山採用しすぎると「ペーパーウッドの家」みたいになってしまうので,そこは慎重に採用箇所を選んだ.

 

問題点など

 木目には程よい荒さがあり,通常のプライウッドよりは少し存在感のある建材といえるかもしれない.問題点があるとすれば,規格だ.最大で1800mmのサイズ展開しかないので,例えば一面の端から端まで机にするとか,壁の全面に本棚を作りつけるなどといった場合に,長さが足りなくなるので継ぎ目ができてしまう.通常のベニヤなどであれば,2400mmとか3000mmなんていう材が手に入るので,継ぎ目が気になる場合はペーパーウッドの採用を諦めたほうがいいかもしれない.

 

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二階ワークスペース部分

ディテール:コルクフローリング

ロビンソンコルク

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色合いは「ミディアム」でちょうど良い感じ

 

 フローリングはほとんどコルクにした*1ポルトガルのロビンソン社の製品だ.同社は150年以上コルク製品をつくってきたらしい.RB2-M7Wというモデルだ.ミディアムカラーで7mm厚の床暖房対応モデル.

 

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味わいのある良い箱に入っている

 

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サンプルの様子

 

実際どうなの

 コルクタイルを採用するまでの経緯はここに書いたとおりだ.実際,かなり悩んだ.みんな,悩みますよね?フローリング.

 

holidayforpans.hatenablog.com

 

 さて,実際の使い心地だ.

  • 普通の値段*2
  • 若干の防音性がある
  • 若干の断熱性がある
  • しかし床暖房にはしっかり対応*3
  • 比較的やわらかい
  • だが丈夫,見た目より丈夫,かなり丈夫*4
  • 汚れはかなり付きにくい*5
  • 肌触りもよい*6
  • 掃除もらく*7

    2016.10.11追記 欠点らしきものがあるとすれば……
  • 靴下で滑りやすい*8
  • 日焼けで色が薄くなる*9

 

丈夫な畳

 乱暴なたとえだがコルクフローリングは畳に似ている.涼しくて暖かくて柔らかく肌触りが良い.ただしロビンソンのコルクは畳よりははるかに丈夫だ.Giroflexの83ブラサ*10というゴツめの椅子をスタジオで使っているのだが,キャスターつきの脚でかなりゴリゴリやっても大丈夫そうだ.正直これほど丈夫とは思っていなかった.

 

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Giroflexに乗ってコロコロ移動しても大丈夫そうな感じ

 

 

丈夫,大丈夫

 聞くところによると,コルクの床材はヨーロッパのホテルなどでも使われることもあるという.靴やヒールで踏んでも大丈夫なのだから,日本人が裸足でくらすぶんにはまったく問題ないだろう.さらに,湿気にも強いらしい.もともとがワインの栓に出来るくらい水分を通さないわけだしね.キッチンや浴室などに使う例もあるという.

 千代田商会のサイトに行くと,いろいろな建築家がコルクタイルについてコメントしてるページが見つかる.難波和彦さんが「総合的な性能ではコルクタイルが傑出」「小さな子供がいる住宅にはもっとも適した床材ではないか」と書いているが,半年使ってみた実感として賛成できる.さらに彼は「15年以上経過した現在でも大丈夫」と書いているので,きっと大丈夫なのだろう.

 

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天然素材と人工物の折衷案的な存在

 

ジョイントタイプのコルクマットとの比較

 そういえば我が家では旧居でもコルクマットを使っていた.ギザギザでつなげて既存のフローリングなどの上に広げるタイプで,子供部屋に敷き詰めていた.オイルやウレタンの仕上げをしていないタイプだった.

 暖かいしクッション性もあるのでわりと気に入って三年ほど使ったが,特にひどく汚れたり破れたりすることは無かった.ただし,さすがに全体にどことなくくたびれて,うっすらとした黒ずみが出てきた.

 このタイプのコルクマットと比べると,ロビンソンコルクは

  • かなり硬い*11
  • 汚れが付きにくい
  • つやがある*12

 というわけで,同じコルクとはいえだいぶ使い心地は違うようだ.

 

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*1:ダイニング,キッチン,子供部屋,スタジオがコルク.玄関,リビング,寝室は違う材にしたがその件はまた後ほど

*2:平米あたり1万円前後.マルホンの後に見るとなんでも安く思える.IOCの後に見るとやや高級床材に思える

*3:非対応のモデルもある

*4:椅子の脚の跡が一時的にへこみになったりもするがしばらく放っておくと戻っている.硬いおもちゃなどをぶつけてもかなり傷になりにくい

*5:何をこぼしても拭けば大丈夫な感じ

*6:吸水性・吸湿性はほとんどないが,べたつくことも無い

*7:掃除機でもいいが,拭き掃除が合いそうなのでブラーバが気になる今日この頃

*8:素足やスリッパでは問題なし

*9:我が家は気にしないレベル

*10:中古で6万くらいなのでお勧め

*11:つめで押すと一時的にへこむくらいのやわらかさはある.コルクマットははさみでも切れるが,ロビンソンコルクはほぼムリ

*12:オイル仕上げということもあるが,もともとコルクの質が違うようだ.粘土を乾かしたものがジョイントコルクマットだとすると,それを焼き固めたのがロビンソンコルクといったような感じ

調光とLEDの色温度の話

LEDダウンライト

 我が家の照明プランは比較的シンプルだ.基本的には,天井埋め込みのLEDダウンライトで構成されている.

 

 

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LEDを採用しなかった場所

 キッチンとダイニングに限っては,LEDの採用を見送った.理由は二つある.

 

LED調光ちらつき問題

 一つには調光機器の対応問題だ.最近LEDもコンシューマーレベルで調光できる製品が出始めたが,実は動作が不安定だ.相性などによってちらつきなどが出るといわれている.他の部屋であれば,最悪だめなら調光せずにフル発光で使えばよいが,ダイニングはシーンに合わせてやはり調光が欲しい.使いたい調光機器*1とLEDユニット*2の相性が確認できなかったので,安全のためLEDは避けてハロゲンの従来品を採用することにした.

 

 

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調光コントローラーはLutron GRAFIK Eye 3000

 

LED色温度問題

 もうひとつは光のスペクトル分布の問題だ.簡単に言うと,LEDは色がおかしい.同じものを見ていても色温度が違うため,違った色に見える.太陽光,白熱球光源は幅広く滑らかなスペクトル分布を持っているため色温度に違いはあってもそれぞれにナチュラルに見える.蛍光灯は見慣れていることもあってか,その違いはそこまで気にならないことも多い.けれども,LEDはものによってぬぐえない違和感が出るものがあるのが現状だ.

 

allabout.co.jp

 

ダイニング照明の実際

 スペクトルが幅の広い綺麗な一峰性の形ではなく,いびつに尖った二峰性だったりするとどうも違和感が出ることが多いような気がする.オーデリックのショールームでも確認したところでは,おおむね色のずれがひどく気になるものはなかったが,大丈夫という確信も持てなかった.とくに食事のときに色が気になるのはいやなので,やはりダイニングとキッチンに限ってはLEDはやめてハロゲンにすることにした.おかげでダイニングに関しては色もちらつきも気にならずにすんでいる.

 

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ハロゲンを使っているダイニングの照明.現状ではペンダントライトの採用は見送ったけれども,ライトレールを付けておいたのであとでつるすのは簡単だ

 

LED色温度の実際 

 一方,その他のLEDの色はどうかというと実際これは気にすれば多少気になるといったところ.気にならない人も多いかもしれない.我が家のLEDはすべて電球色なのだが,その光で部屋の写真を撮ってみても,通常の白熱灯のケルビンプロファイルの補正ではまったくニュートラホワイトバランスにならない.スペクトル分布がことなっているのは明らかだ.そして実際に肉眼でも若干気になる.

 

LED調光ちらつきの実際

 調光に関しても,他の部屋では実際にちらつきが出た*3.寝室とリビングの調光を暗くすると,冬場は明らかにちらついていた.100%点灯時は問題ない.なぜかよくわからないが暖かくなってから再現性がなくなったので,とりあえず今年の冬までは様子見の予定だ.

 

 

おまけ

我が家が採用を見送った照明機器の一部を載せておきます.

*1:Lutron GRAFIK Eye

*2:オーデリック

*3:Lutron DivaのLED調光対応モデルと,オーデリックのLEDダウンライトの組み合わせ

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ディテール:マグネットボード(とミキサー)

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キッチンワークスペース部分

 

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スタジオ部分

 

 メモなどを留めておくマグネットボードが欲しかった.当初は既製品で探したが,結局造作にした.とはいえ,つくりは簡単なものだ.階段用の鉄板のあまりを四角く切って塗装し,壁からすこし浮かせて取り付けた.コストもかからずシンプルでカッコよく機能的なのでお勧めだ.

 

 

 ついでなのでMackieのミキサーONYX820iについてもすこし紹介しておく.

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イケア・ハッキングその2:PAXのパーツをビルトインクローゼットに組み込む

イケア・ハッキングその1はこちら.

holidayforpans.hatenablog.com

 

ハイブリッド・クローゼット

 ビルトインクローゼットは高価だ.そこでフレーム部分だけを廉価な建材で造作ビルトインにして,パーツはイケアのPAXシリーズのものを流用することを考えた.

 

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 フレーム部分はシナ合板で大工工事とした.フレームも含めてPAX全体をビルトイン「風」にするよりは収まりが綺麗だ.さらにフレームが直接壁に固定されているので,地震などでも倒れない.

 高さ方向は自由なので,一方は天井までのフルハイト,もう一方はあえて空間をあけた.おかげで,ベッドから見た時に「ヌケ」があり圧迫感が少ない.

 

 

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その「ヌケ」の部分に間接照明が入っている.LEDの間接照明用ラインライトは現状の技術では調光できない!ここは従来式にしてでも調光対応にしたら良かった.

 

 

現地調査

 ダボ穴のピッチや直径は,あらかじめイケアに偵察に行って測定した数字にしたがってあらかじめ開けてある.後ほど補足で具体的な数字も載せておくが,イケアはときどき規格を変えることがあるので,この記事を参考にされる方は必ずそのときに売っている現物を確認してサイズをご自信で測ることをお勧めする.

 

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 さらにいうと,こういった規格ものとの兼ね合いはときにシビアなので,普通は工務店が嫌がってやってくれない.実際に我が家でも,一部PAXパーツに対して造作フレームの幅が1-2mmほど足りず入らないところがあった.適宜パーツを削って対応した.

 

できあがり

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反対から見たところ.以前から使っていた鏡をとりあえず置いてみた

 

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 ガラスがはめ込まれたトップが売っている.開けなくても中が見えるし,棚の上部にに置いた忘れられがちなものも下から透けて見えるので便利だ.左右のマルチフックはベアリング入りの稼動システムが組み込まれていて引き出せる.PAXのパーツは値段の割に結構しっかり作ってあるものが多い.

 

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ハンガーパイプやズボンハンガーも引き出せる

 

 

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俯瞰図

 

おまけ

施工時の寸法メモを発見したので転載しておく.

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